ツーリズムのその先へ。新時代の交流創造事業のためのアイデア創出プラットフォームを担う人財情報バンクとして Beatrust を活用。
「地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する。」をグループの経営理念に、幅広い事業を展開する JTB グループ。昨年 2022 年に創業 110 年を迎えた同グループの価値創造の源泉は、旅行者・地域・企業それぞれのお客様に人々・モノ・コトをつなぐことでお客様の満足や課題解決へとつなげることだ。人々をとりまく環境が急速に変化する中で、「交流創造事業(※)」を事業ドメインとし、新たな出会いや人々の相互理解につながる新たな交流の機会と場所を創造し続けることで、かけがえのない自然や文化の魅力を維持し、人々の心を動かすソリューションを提供し続けている。 「モノを持たない会社」でありながら、同社が 110 年間で培ってきたグループアセットは非常に豊富である。B2C の領域で力強い市場認知を得ている「ツーリズム事業」に加え、昨今では、観光地のデジタル化支援・観光地整備・エリア開発などの「エリアソリューション事業」や、企業の内外向けコミュニケーション課題に対するコンサルティングを提供する「ビジネスソリューション事業」など、B2B の領域への事業展開も活況だ。 同グループが成長し続ける理由は、まさにこの「新規事業を生み続けるチカラ」にこそあるといえる。全てのグループ社員が知恵を出し合い、新たな事業を切り開くことを可能にする “仕組みづくり” が巧みであるがゆえに、困難な時代にありながら新たな形の “交流” を生み出し続けている。そんな同社が実践する社内アイデアコンペティションや、立ち上がったプロジェクトの人財募集を効果的に推し進めるためのプラットフォームとして、2023 年より Beatrust が利用されている。今回は Beatrust の導入および運営事務局としての活用推進を主導されている山本様と、Beatrust を日々実際に利用され、社内の公募制度「事業開発人財 BANK」に参画されている西尾様のお二人にお話を伺いました。
JTB 独自の “3 階建て” の新規事業創造フレームとは。
社員のボトムアップなアイデア起案を全社施策として仕組み化する。
はじめに、お二人の簡単なご経歴と、現在の業務内容について教えてください。
山本 規之(以下、山本)
2008 年に JTB に中途入社しました。名古屋事業部などの配属経験を経て、今年 2023 年から現職です(ツーリズム事業本部 事業開発推進部 事業開発チーム)。業務内容としては、JTB グループ全社員を対象とした、新規事業創出のためアイデアコンペティションの運営と、その実行基盤となるプラットフォームの運営を行っています。
西尾 采香(以下、西尾)
2017 年に新卒として JTB に入社し、今に至るまで名古屋事業部で営業職をしております。一般企業様を対象とした旅行・MICE 提案と、自治体様を対象とした地域交流事業・BPO 事業の提案を行っています。また今年から、本日のテーマでもある「事業開発人財 BANK」にも参画いたしました。
山本様のご部署が管掌しておられる新規事業の公募制度に、西尾様がメンバーとして手を挙げて参加されたというご関係だと理解しております。(山本様へ)先ず最初に、御社独自の新規事業開発スキームについて、全体像をお聞かせいただけますでしょうか?
山本
JTB では 30 年以上前より、新規事業開発の取り組みを組織全体で仕組み化してまいりました。現在では 3 階建てのスキームになっておりまして、3 階部分は、経営により設定された「テーマ」軸に沿った新たな事業領域の開発です。事業基盤機能にあるイノベーション戦略推進チームが主幹となり、選抜されたメンバー中心に、グループ全体の新規事業の開発戦略を策定しています。1,2 階部分は対照的に、ボトムアップ型、すなわち一人ひとりの現場社員が主体となって自由にアイデアを出し合い、適切な社内プロセスを経磨き上げを行い、厳選したものを経営にプレゼンし、承認されたものが実際に事業化されるようになっています。ここが私の所属する事業開発チームが管掌している部分でして、アイデアコンペティションの企画・運営や、実行基盤となる社内プラットフォームの事務局作業などを行っています。先ほどの 3 階部分とは違い、テーマの自由度が高く、本人のやりたいことを自発的・主体的に提案可能な開かれた場として運用しているのが特徴的です。
経営により設定された「テーマ」 or 社員によるボトムアップという発起主体の違い以外に、目的や実際に起案される内容の観点ではどのような違いがあるのでしょうか?
山本
規模・難易度・事業化に要する時間など、必然的に多くが異なります。3 階は、大袈裟ではなくツーリズム事業以外の JTB の新たな中核事業を創出していくような長期的かつ壮大な「探索」目的のテーマであることが多く、その分だけ期待される成果目標も高いですから、検討期間も相対的に長く複雑になります。反面 1,2 階は、既存のツーリズム事業の中で新たなサービスや商品を開発するような「深化」目的のテーマが提案されることが多いと思っており、より実効性やスピード感が求められます。
目的と内容はたいへんよく分かりました。そのうえで、山本様のご部署(事業開発チーム)で実際に行っておられる施策についてもお聞かせいただけますでしょうか?
山本
2 階に位置付けられる施策として、年に 1 度、「JUMP!!!」と称した社内アイデアコンペティションを実施しています。グループ全社員を対象に、広く自主応募で事業アイデアを募る場を提供しています。その後の書類選抜、中間プレゼン、レビューなどもプログラムとして提供しており、最終の役員プレゼンまでの “磨き上げ” の仕組みをワンストップで提供しています。全行程でのべ数ヶ月〜1年掛かりの長期スプリントになりますから、起案人もレビューメンバーも相当なリソースと時間を割いて本気で取り組みます。
相対的に 1 階部分は、もっと間口を広げてスモールスタート可能なものから応募することが可能です。例えば、既存事業における「新商品や新サービス」の開発などを目指すものです。社員が日々働く中で感じる “こんな商品・サービスがあったらいいな” を、テーマに縛られることなく自由に起案することが出来る場づくりを目的としており、「JTB Tourism lab(ツーリズムラボ)」と命名した活動を通じてアイデアを募っています。それぞれに業務の繁閑がある中で、無理のないタイミングで応募できるよう、四半期に 1 度の好きなタイミングでご参加いただけるようにしています。
さらには、両方の取り組みを主体となって推進する 人財の募集とネットワーク化を目的に、「事業開発人財 BANK」という活動もやっています。西尾が参加してくれているのはこちらですね。アイデアやプロジェクト単位での公募やマッチングをこの上で実施しています。現在およそ 300 名ほどが登録してくれています。
新規事業というと、特定の専門部署が非連続な活動を通じて可能性を探索されているケースが多い印象ですが、御社の場合は “全社イベント” “風物詩” として社員を巻き込む形で行っておられるのが非常に印象的ですね。
山本
はい、それがまさに意識しているポイントです。「社員全員を事業開発者にしたい」というのが、私たち事業開発チームが目指している会社像です。時代の変化の中で企業が持続的に成長するためには、連続的に新たな事業やサービスを創造し続けることが不可欠です。そのためには、意欲を持った一人ひとりの個人のアイデアを登用し育む仕組み作りが必要だと思っています。それゆえに、ある種のお祭りゴトとして楽しみながら参加できるようにすることで、活動量を上げていけたらと思っています。
西尾
新入社員は、配属前の研修期間中にチームを組み、応募することがミッションとして位置づけられていたため、JUMP!!! もTourism lab も全員が知るところとなっています。公募時期が近くなってくるとそれに関する会話も増えますし、「近くなってきたね」「何出す?」みたいな会話が風物詩のように始まりますね。書類選考が通った同僚のチームは、それぞれ離れた個所に配属された後も連絡を取り合いながら企画を磨きあっていたりと、ある種のプロジェクトとして一体感を持ちながら取り組んでおり、仲間意識を保ったり会社への貢献実感を共有するうえでもいい機会になっただろうなと思います。
実際のところ、何件くらいのアイデアが集まるのでしょうか?
山本
JUMP!!! の方は、昨年 (2022 年度) は 500 件以上の応募がありました。各段階の絞り込みを経て最終的に役員決済まで行き着いたものは 3 件ですから、厳選された “これは!” と光るアイデアを抽出する仕組みとして期待通りに機能してくれたと考えています。同様に Tourism lab の方でも 600 件近い応募があり、厳しい選抜を経て 3 件が残りました。
一方で、これだけ多くのアイデアが集まりながら、最終選考後に残るのは毎年数件しかなく、消えていくアイデアの中にも「磨けば光るユニークなもの」があると感じていました。そうしたアイデアをなんとかしたい、と「事業開発人財 BANK」を本格的に開始したのが今年 2023 年春先のことです。過去の取り組みの蓄積があるとはいえ、初年度から 300 名もの参加を集められたことは、私たちにとって大きな成果だったと感じています。と同時に、今回の取り組みで集まった「磨けばさらに光るだろうアイデアたち」と「貢献意欲旺盛な社員たち」をどういった形で次に繋がる形でネットワーク化・マッチングするかということに、私たち事務局の新たな課題を感じました。そんな時にご縁あって知ったのが Beatrust さんでして、これは私たちの取り組みを加速してくれる理想的なプラットフォームではないか?と期待してお話を聞くことにしました。
“人財 BANK” として意欲的な社員の交流の場を作り、
起案されたアイデアの磨き上げやプロジェクトへの参加を促進する。
私たちが最初にお話を頂いた際にも、既に「事業開発人財 BANK」としての構想がおありで、その運営プラットフォームとして Beatrust が使えるかというご相談だったと記憶しております。実際にプロダクトの説明をお聞きになったとき、どのような印象をお持ちになりましたか?
山本
「タレントマネジメント」を目的とした社員情報の一元管理ツールはたびたび聞いたことがありましたが、Beatrust さんが提唱する「タレントコラボレーション」というのは初耳でした。スキルや経験の可視化を、企業を主語とした人事評価・配置換えのために利用するのではなく、社員と事業のマッチングやコミュニケーションの活性化など、働く社員一人ひとりの価値向上のために利用しようとする考え方そのものが、これまでに無い新しい思想だという印象を持ちました。
先ほども述べた通り、JTB には既に運用中の社内制度があり、“アイデアの種” が集まり始めているなかで、あと一歩!というアイデアを諦めずに磨きあげることができる人財発掘の仕組みを作ることが課題でした。JAMP!!! や Tourism lab を通じて集まったメンバーを人財 BANK として Beatrust に登録し、所属や連絡先のみならず、スキル・経験・パーソナリティといったデータを含めて一元的に可視化することが出来れば、全社活用可能な人財プールとしてネットワーク化することが可能になります。さらには、Beatrust が提供するタグによるマッチングの仕組みを巧く利用することによって、その先の目的出会った人財とアイデアの最適なマッチングまでも効率的に叶えてくれるだろうという期待を寄せました。
どのような経過を経て導入に至ったのでしょうか?また現在の Beatrust のご利用状況はいかがでしょうか?
山本
2023 年 4 月に人財 BANK 自体がスタートし、社内で募集が始まりました。Beatrust の検討もちょうど同じ時期に始まったのですが、先行していた BANK のおかげで人数の見込みも立てやすく、予算確保に掛かる社内稟議も速やかに進めることができまして、社内のセキュリティ面等の諸課題をクリアした 6 月から速やかに利用開始することが出来ました。
今のところは利用者も BANK 登録者のみに限っておりまして、約 80 個所(拠点)、300 名程が参加しています。基本的な使い方は JUMP!!! と Tourism lab に関するプロジェクトの周知と人財募集を Beatrust Share (シェアボード)に掲載し、手を挙げたメンバーの中から実際のアサインを検討する際に Beatrust People (プロフィール) 上の情報を参考にしている、という感じです。
私たち運営方がプッシュせずとも自分で BANK に登録してきた意欲的な人財を中心に構成されているため、Beatrust 内でのコミュニケーションも非常に活発です。プロジェクトに直接関わらない質問や問い合わせも Beatrust Ask(Q&A 掲示板)上で投稿され、所属や役職を超えて回答が集まっています。登録社員の7割くらいがアクティブユーザーとして定着し、Ask では 1 投稿に対して平均で 200 件近い閲覧がつき、多い時には 50 件もの回答コメントが集まることもあります。Ask も Shareも、単純な掲示板ではなく、適切なキーワードをタグ付けして投稿することによって「この人に見て欲しい」という期待される人物像にマッチした社員に通知を届けることができる仕組みがあります。非常に多岐にわたるアイデアを、それを叶えるのに適切なスキルセットを持ち合わせた人と引き合わせることを可能にする仕組みとして、実に便利な機能だと感じます。
(西尾様へ) 若手のお立場として、面識の無い先輩社員に自分の投稿が見られることや、コメントが返ってくるかもしれないことに対して萎縮することは無いでしょうか?
西尾
ゼロとは言いませんが、今のところは殆ど感じません。山本さんら運営の皆さんのおかげもあって、この人財 BANK の 300 人の中でフラットで包摂的なコミュニケーションの空気感が出来上がっていると感じます。知らない方からコメントを頂いても、その方の People のページを見に行けば自分との共通点や会話のきっかけ作りになる情報は何かしら得られますし、翻って「このタグの付け方上手だな。自分もこれ付けよう」といった風に自身のプロフィールを見直すきっかけにもなっています。何よりも、通常業務では接点の持ちようもなかった社員の方とお知り合いになれる機会が得られることのメリットの方が大きいと感じます。
山本
将来的にはもちろんこの取り組みを大きくスケールさせて行きたいとは思いますが、そのためにも先ずは「最初の意欲的な 300 人」の集まりである今のうちに、しっかりとしたコミュニケーションの風土作りやコミュニティ運営の型を作っておきたいと考えています。仕事の状況は刻一刻と変わりますから、同じ人がずっと BANK に居続ける必要も無いと思っています。「この場にくれば常にアクティブな相談役がいる」という安心な状況を維持することが大事だと思っており、そういった運営方の活動をサポートしてくれるような機能が Beatrust に強化されてくると、私たちとしてはますます有難いですね。
(西尾さんへ)実際のユーザーの立場からして、BANK に参加して良かったと思えること、その活動の中で、Beatrust があって良かったと思えることは何でしょうか?
西尾
私が BANK に参加した理由の 1 つは、会社としての JTB の可能性をもっと知りたかったからです。一般の方から見える JTB のイメージといえば、やはりツーリズム事業だと思いますが、私自身が JTB に入社した理由は、もっと大きな JTB が掲げる「交流創造事業」の考え方に共感したからです。コロナ禍によるライフスタイルや旅行のあり方の変化に加え、デジタル化による構造改革も相まって、JTB はいま大きなビジネスモデルの変革の過渡期にあります。2020 年に始まった交流創造事業とは、JTBならではのソリューション(商品・サービス・情報および仕組み)の提供により、地球を舞台にあらゆる交流を創造し、お客様の感動・共感を呼び起こすことだと定義されています。JTBグループの価値創造の源泉は、人や地域、企業などを「つなぐ・つなげる」ことにあり、すべての基軸を「お客様の実感価値」(顧客が機能+情緒で評価する体験価値)の追求に置いています。
モノを持たない JTB だからこその大きな可能性がここにあると思っていて、自分の目でそれを探索し体験するための一つの機会として BANK に参加しました。おかげで、JTB には全国各地にアイデアと意欲に溢れた魅力的な社員がたくさんいることを知り、この会社のことがますます好きになりました。そんな BANK としての活動を支えるプラットフォームとして、Beatrust は本当に役立っていると感じていて、具体的に良かった点としては 3 つあります。①プロジェクト開始前にチームメンバーのことをよく知ることができる。②気軽に部署横断で質問投稿や意見交換ができる。③社内の人のキャリアを知ることができ、キャリアプランの参考にできる。いずれも、コミュニティとしてのアクティビティを高め、取り組みたいテーマとそれを一緒に実現できる仲間社員を見つけるのに役立っていると感じます。
西尾さんご自身も、起案者として提案側に立たれたり、またはどなたか別の方のプロジェクトの支援に回るような活動を実際に行ってらっしゃるのでしょうか?
西尾
どちらの経験もあります。起案した経験は、先ほどご紹介した新入社員の時のエピソードですね。支援側に回った経験としては、別の起案者の方のプロジェクトのアイデアの壁打ち役を、社内ではこれを "タスクフォース・メンバー” というのですが、手を挙げてやったことがあります。Tourism lab の制度の中には、「サポーターとしてこのプロジェクトのブラッシュアップを手伝いたい」というメンバーを募るタスクフォースという仕組みもありまして、その募集も BANK の中で行っています。業務以外での気づきを得られたり、他事業メンバーとの人脈作りが出来たり、いろいろなメリットがあるなと感じていて、定期的に手を挙げています。
山本
さまざまな関与の仕方を設けているのが BANK の 1 つの特徴でもあります。自らプロジェクトオーナーになって走りたい人、立ち上げフェーズの市場調査やプレゼン作業にだけ関わりたい人、内部折衝やパートナー連携といった実現に向けたフェーズならぜひ協力したいという人など、いろんなパターンがありますから、柔軟性ある関わり方を本人の裁量と判断において選べるような枠組みを設けています。
プロジェクトの起案者がオーナーシップを持って走り切る仕組みづくり
をすることで、責任感とやりがいの輪を広げていきたい。
人財 BANK のさらなる拡大と、そこで取り組まれるプロジェクトの深化という観点において、次なる展望をどのように描いておられますでしょうか?
山本
2 つあります。1 つ目は、個所 (各拠点やチーム) や個人が主体となってプロジェクトのオーナーシップを持ち、自発的・自律的に事を起こすカルチャーへと大きく風土変革していきたいと考えています。本取り組みは始まったばかりですから、今のところは本社がプロジェクトの募集を投稿して、個所や個人がそれに対して手を挙げて参加するという構造になっていますが、将来的には「個所が自発的にプロジェクトを立ち上げ、全社に向けてその協力を募る」という形へと徐々に移行していけないかと考えています。自身の起案したプロジェクトに対する責任感も達成意欲も生まれやすく、ますます多くのアイデアを起案する人が出てくることでしょう。
それは非常に重要なことに感じます。新規事業が頓挫するケースとしてよく聞くのが、アイデアを出す部署と形にする部署が違うというパターンがあります。究極的に「自分が考えたわけではないものを、何故やる必要があるのか」の疑問の壁が超えられない。階段が途中で途切れてしまうために、せっかくの稟議まで通った素晴らしいアイデアが、結局実現に至らず消えていくというのは正直なところよく聞きます。
山本
当社は、現場であるそれぞれの個所に大きな裁量があることも特徴でして、その意味では各個所にプロジェクトのオーナーシップを持ってもらうことも有り得る判断だと思っています。目標達成のために自分たちに出来ることは何かを常に考え続け、そしてそれを実行するためのリソースも責任も自らが主体的に引き取るのが理想的な形だと思っています。その方が責任の所在も投資と利益の関係も明確になりますよね。
とはいえ、言うは易し、行うは難しだというのも理解しています。今はまだアイデアを募る・育む仕組みを整える段階だと思っていますから、本社事務局の私たちが軌道に乗せるところまでしっかり地固めするべきだと考えます。先ずは一号事案を創り上げてリリースし、そこから先より徐々に運用移行を図っていくことを考えています。
2 つ目にチャレンジしたいのは、JTB だけでなく外部のパートナー様(企業様や自治体様など)とコラボレーションしたお取り組みをこのプロジェクトの中から創り出していきたいと考えています。先ほど西尾が申し上げた通り、JTB グループの資産は全国各地に存在する拠点とそこで働く社員の知恵・経験そのものであると思っており、外部パートナー様のチカラもお借りしながらもっと大きくそれをレバレッジすることで世の中に大きな価値を提供できるものと期待しています。実際に人財 BANK を運営する中でも、他社様との共同プロジェクトのアイデアの起案が実に多く、社員自身がますます社外へと開いた活躍の機会を求めていることがよく分かりました。外とつながる機会を通じて、改めて JTB の魅力や可能性に自覚的になることで、社員一人ひとりの帰属意識ややりがいの向上にもつながるのではないでしょうか。
それはまさに Beatrust が目指す未来展望とも一致するお考えだと感じます。人と人、人とアイデアをつなぐのに、範囲を自社内に限定する必要性は本来的に無いものと考えています。適切なアクセス管理設定やセキュリティ対策が施された前提の上ですが、将来的には会社と会社が共同プロジェクトに取り組む際の “cross-company platform” として Beatrust が存在する未来を考えています。改めて本日は貴重なお話を有難うございました。
※「交流創造事業」は、JTBの登録商標です。
※ JTB では、2023 年 11 月より社会のパートナーのみなさまと新しい価値をつくるべく、イノベーション創発プロジェクト “nextender” を立ち上げました(公式HPはこちら)。これに伴い、事業開発人財 BANK の名称は、2023 年 11 月現在 nextenderMATCH へ変更されています。